戸田幸紀の鬱ちゃんバイブル #4|僕だってブラジャーが好きなんだ!

こんにちは。

“うっちゃん”(ポップな鬱を抱える人)27年目、戸田幸紀です。

鬱というほどには重くない。でも心はとっくに限界を迎えている。シリアスではなく、ポップな鬱人のこと、そんな人を僕は“うっちゃん”と呼んでいます。

 

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こんな僕にも平日、誰にも言えない密かな楽しみが一つある。

それはお昼休憩時にコーヒーを買いに行く際、通りかかる女性用下着屋さんにて飾られている、ある白いマネキンに目を配る事だ。

 

彼女は毎週違う、華やかで魅力的な下着を身にまとっており、マネキンながら妖艶な香りを醸しだす。

僕は周囲に悟られない様、カメレオンの様に眼球だけ左にずらし彼女へとコンタクトを図る。

そんな彼女は毎度どこ吹く風で、僕以外の全ての男性に愛想を振りまいている。

どこか危なっかしい小悪魔的な存在。そんな彼女に僕は夢中なのだ。

 

ところが先日、ある事件が起きた。

その日彼女は下着を身に着けていないのだ。。。!

 

来ていたのは純白のウェディングドレス。

正直、下着屋のマネキンがなぜウェディングドレスを着ているのか背景は良く分からない。

でもそのウェディングドレス姿の彼女を見た瞬間、彼女が勝ち誇ったような笑みを僕に向けてきた様な気がしてぞっとした。

 

僕は彼女に少し裏切られた気持ちもあったが、彼女とはその程度の関係性であったと心に折り合いをつけて消化する事にした。

 

消化しかかったその際、ある一つの事が頭に浮かんだ。

「女性の“うっちゃん”が彼女を見た際、どんな気持ちになるのだろうか、、」

きっと怒り狂うに違いない。

 

彼女はきっと男性には人気だ。

見てくれも良く、スタイルは抜群。東京のど真ん中に堂々と立つその姿は“モテる女”そのものだ。

 

でもきっと、“心に限界”を抱える女性は彼女の事が猛烈に嫌いに違いない。

 

どんな女性も時が経てば顔はシワだらけになるし、乳は地面へと垂れ下がる。

若い時は学の無さを“天然”と可愛がられても、時が経てばただの見苦しい“お馬鹿さん”だ。

“うっちゃん”はきっとこんな女性を賞味期限切れ待ちのアバズレと嘲笑っていたに違いない。

 

そんな彼女が結婚という形で“勝ち逃げ”したのだ、、!

彼女の美貌に対し、僻み嫉みの念を自分なりのストーリーで価値のない女とラベリングする事で落ち着かせていた“うっちゃん”の心を見事に打ち砕いたのだ。

 

そんなことを考えた瞬間、

ショーウィンドーを素手でたたき割り、血まみれになった拳で純白のウェディングドレスを赤く染め上げる“うっちゃん”の姿が目に浮かんだ。

長年、強い理性で抑え込んできた大切な感情がぶち壊れ、更なる破壊へと突き進む同族に心から同情した。。。

 

僕はこの一連の事件から一つの事を学んだ。

それは、“何事にも近づきすぎない事”

 

何か一つ知ってしまうと、その奥に無数の出来事が潜む。

僕の場合その7割超は僕の人生に対しきっとネガティブに働く。

僕がコーヒーを買いに行かなければ、、よこしまな思いで下着屋の前を通らなければ、、妖艶なあの子に思いをはせなければ、、

 

人生は失敗の連続であり、小さな絶望が常に僕の背中から追いかけてくる。。

絶望のタネは少ない方がいい。

人とは距離を取り、新しい事は控える。

少ない刺激で何とか今日という一日を乗り切る。。

魅力ない自分へ、また一歩、歩を進めてしまった。。。明日が来る。。どうしよう。。。

 

戸田 幸紀

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